「キリンホールディングス」キリン中央研究所主務の辻亮平さん(39)は、別の企業に勤める38歳の妻とともに、4歳の長男と1歳の長女を育てている。 辻さんは乳酸菌の研究に従事しながら、子どもが誕生した年に1回ずつ育児休業を取得。子育てのおもしろさに気づいた結果、保育士の資格を取得したという。 驚きの一歩を踏み出した理由とは? BuzzFeedは辻さんにインタビューした。 長男を抱っこして、重さを感じた時でした。嬉しかったのが一番ですが、「これから、ちゃんとしなきゃ」って思ったのを覚えています。 ただ、仕事が多忙な時期と出産が重なってしまって。育児のほとんどを妻に任せてしまっていました。 ーー「ほとんど」と言っても、育休を取得されたんですよね? 生後3ヶ月のタイミングで、2週間だけいただきました。 いま思い返せば、「取った感」を持っていました。もっと長く取っていればよかったです。 ただ、そのおかげで「受け身の姿勢はよくないな」と大きな気づきを得ました。 仕事を理由に、子どもと全然関わりきれていませんでした。だから、妻になんでもかんでも子育てのやり方を聞いてしまって。 育休中は、妻を休ませるのがミッションだと考えていたんですが、子育ての一つひとつがどうしても不安だったんです。 はい。もう一つは、保育士の先生との出会いです。 長男が生後8ヶ月になると、保育園に預けるようになりました。 子育てについて、まだまだわからないことが多く、保育士さんがものすごく親身に相談に乗ってくれたんです。 アドバイスを踏まえて子どもと接してみると、反応が全然違う。ちょっとゲームの要素を入れると、食べなかったご飯をすごく食べるようになったり、 昨日できなかったことができるようになったり。 そういうのを見ていると、大人と比べてドラスティックに変わっていくのが、とても楽しくて、面白くて。 子どもとどう関わればいいのか知りたくなって、もっと子育てに時間をかけようと考えました。 保育士さんは、子どもと関わるプロフェッショナルじゃないですか。 子どもたちと、どう関わっているんだろうってじっと見ていたんです。すると、泣き止まない3人の子どもを、1人はおんぶ、1人は抱っこ、1人は「よしよし」みたいに同時に相手をしていて。 3人とも泣きやんでいるのを見たときには、「すげえ!」って感動しました。 そうした子どもとの関わり方や、私たち親とのやりとりから、保育士さんが何を考えながら園児と接しているのか知りたくなって。 保育士の資格を取ろうと勉強し始めたのは、それが1番の理由でした。 資格の勉強をすれば、どういう知識を持っていて、どんな基準で子どもと接しているのかを知れると思ったし、自身の子育てにも生かせると思ったんです。 「資格を取得したい」と打ち明けたときには、「育休を取る」って言った時よりも、妻は断然驚いていましたね。でも、一番の応援者になってくれました。 息子が1歳半の頃の2019年末に勉強を始め、実技試験に向けて夜な夜なピアノの練習もしました。 試験には一度落ちてしまいましたが、21年に無事に合格できました。 ーー資格を取得後は、どんな変化がありましたか? 子どもたちが何を考え、どうしたいのかをきちんと聞いてあげるようになりました。 命に関わる危ないことだったら、絶対に止めなきゃですけれど、そうじゃなければ“まずはその気持ちを受け止めて、やらせてみる”って考えるようになりましたね。 キリングループでは、新規事業の立ち上げに積極的に取り組んでいます。 ひょっとしたら、保育士を支援する新しい事業を生み出せるかもしれない。 資格を持っていて、苦労がわかる自分だからこそ、解決できることがあるのではないか、と考えてます。 (後編はこちら) 39歳。キリンホールディングス株式会社キリン中央研究所主務。「プラズマ乳酸菌」の研究に従事。保育士の資格を持つ。 38歳の妻と4歳の息子、1歳の娘を育てている。これまで子どものために買った一番高いものは、ランニングバイク『ストライダー』。 共働き世帯は年々増加し、男性が家事と育児で主体的な役割を果たすことがますます重要になっています。 仕事と子育てを両立するための工夫を知り、子育てがよりポジティブなものとなるようにーー。 ご協力いただける企業の方は、担当記者までメール(kensuke.seya@buzzfeed.com)をお寄せください。
Kirin
December 29, 2022 · 1 min · 40 words · James Anderson